白斑を経験して (30代女性 )

みなさんは、白斑という病気をご存知ですか? 
マイケルジャクソンがかかった病気としてご存知の方もおられるかと思いますが、肌の色が脱色し白くなる病気です。自分とは縁遠そうに思っていたこの病気に、私の娘がかかりました。
ある夏の日、娘の首が白くなっていました。どうしたんだろうと思いつつも、すぐに治るかなと思って放っていたら、白い部分がみるみるうちに顎まで広がってしまいました。
これはいけないと慌てて近所でよく診てくれると評判の皮膚科へ。そこで言われたのは「白斑かなぁ?ハタケかもしれないよ。数ヶ月のスパンで様子を見てみて。仮に白斑なら、うちでは診れないから大学病院に行って。でも白斑には、これと言った治療法はないんだよなぁ。でも大丈夫だよ。ただ白くなるだけで、死んでしまう様な病気ではないから。」という事でした。
命に別状はないとはいえ、小学校低学年の娘にとっては一大事です。幸い白い部分はそれ以上拡大せず、ハタケである事を願いながら様子をみていました。その期間も私なりに色々と情報を集めましたが、完治は難しいとか、大学病院でレーザー治療を受けている子が紫外線に当たれないから日常生活が大変だとかの、暗い情報ばかりでした。
そのうち何ヶ月かが過ぎ、ハタケではなく白斑である事を私も受け入れざるを得ない状況になった頃、家族でお彼岸のお墓参りに出かけました。すると、その夜から娘の顔が真っ赤に腫れあがったのです。慌てて例の皮膚科へ。ですが薬を塗っても全く治らないのをみて、知り合いの方が別の皮膚科を勧めてくださいました。
新しい皮膚科では、「黄砂によるアレルギー」と診断され、診察の折に「この子、白斑があるね。紫外線治療をうちでやってみる?」と言われました。アレルギーもすぐに収まり、その病院で紫外線治療を受ける事にしました。先生の話では、効き目は個人差があるとの事でしたが、娘は治療を始めてすぐに効果があらわれ、数ヶ月後の診察では「どこが悪かったかわからないね。薬も使ってないのに、綺麗になったね。」と言われるまでに回復しました。
この話を読んで、奇跡でも何でもなく、母親が無知だっただけじゃないかと思われる方もいらっしゃると思います。その通り、私は無知な母親です。要所要所で適切な判断ができていたとも思いません。ですが、私の様に無知な母親の元に居る娘は、神仏のお導きにより不思議なご縁をいただいて良くなりました。
それに、病気になった事は悪い事ばかりではありませんでした。
三人兄弟の真ん中で、手がかからない事を理由に手をかけずに育った娘を、週に一回自転車の後ろに乗せて走る往復20分の通院時間は、娘と向き合う貴重な時間でした。学校の話、今読んでる本の話、将来の事、色々な事を話しました。
また、友達の「どうしたの?」という何気ない問いかけに傷付いた娘は、悪意のない言葉も人を傷付けるという事を学んだようです。その経験を活かし、人の痛みの分かる優しい子に育ってほしいと思います。
今、私は、前より強い気持ちで、「これから先、どんな辛い事や苦しい事があっても、私自身がちゃんと神様の方を向いていたら、必ず笑顔になれる日が来る。」と思えます。
今日も家族が笑顔で一日を過ごせました。その重みを感じ、感謝の心でいっぱいです。
おかげさまでありがとうございます。