おかげさまでありがとうございます。
今月は、「試練があるから成長がある」という事を心に留めていただきたいと思います。若い時の苦労は買うてもせよという言葉がありますが、実際には中々そういう心情にはなれないと思います。苦しい事や辛い事を避けて通れるならそうしたいと思うのが、人としてごく自然な気持ちです。しかし実際には、全ての苦しみや悲しみを避けて通る事はできません。そして、そういう試練があるからこそ、いつも以上に考え、いつも以上に努力し、それが自身の成長に繋がるのだと思います。
私自身も人から見れば順風満帆に見えるかもしれませんが、とても苦しくて一人になると自然と涙が溢れて止まらない事もありましたし、死ぬほど悔しいと思った事もあります。時には、自分で思い詰めてしまって不安に押しつぶされそうになった事もあります。きっと私だけでなく、みなさんも同じような経験をされているのではないかと思います。しかし、私が幸せだったのは、どんなに辛い時でも、神というものを絶対的に信じることが出来、今はこれだけ辛くてもいつか心の底から笑える日がくると思えた事です。どんな時でもその希望があった事、また実際にそうなった事は、信仰している一番の有り難さだと思っております。そして今、そういう経験を経て、その辛い経験も出来て良かったと思えます。なぜなら、その経験によって少しは強くなれたと思えるし、同じような悩みを抱える人に対して、完全に理解する事は難しくても少しは寄り添えるようになれたのかなと思えるからです。
たまに何か厳しい状況に陥った時に、後は良くなるだけだという方がいらっしゃいます。でも、そんなに甘いものではないと思います。ただただ過ぎ去るのを待っているだけでは、同じ所をぐるぐる回って、形が変わっても同じような苦しみを繰り返すのだと思います。どんな困難な状況でも、逃げずに乗り越えて行かなければなりません。信仰の有り難さは苦難を取り除いていただける事ではなく、それを乗り越える力を授けていただける事だと私は思います。どんな時でも素直な心で感謝できること、神を崇めきれること、慈悲の心で人に接し神仏に帰依し功徳を積めること。それが、困難を乗り越えていく力になるのだと思います。実際に何か試練があった時にそれを喜ぶ気持ちになれないのは当然の事ですし、その苦しい気持ちを否定するつもりはありませんが、どれだけ苦しくとも心折れずに前に向かって進んでください。
今日のお参りは若い方が多いので、若い方には是非とも試練は成長の糧だと思って、そこを乗り越えて自分の人生を切り開いていただきたいと思います。ですが、これは若い方だけの話ではありません。「20代には20代の行があり、50代には50代の行があり、80代には80代の行がある」というのは修法先生の言葉ですが、それは本当だなと思います。人それぞれの寿命はわかりませんが、与えられた寿命の最後の瞬間まで、人生日々修行の心で前を向いて走り続け、生ききる事が何よりも大切なのではないでしょうか。まずは、無から有を生み出す有り難い神様とご縁があった事に感謝して、どんな困難も心折れる事なく前を向いて乗り越えて、幸せの道を歩んでいただきたいと思います。
おかげさまでありがとうございます。
合掌
浅田 芳順
(令和七年二月一日 法話より)