おかげさまでありがとうございます。

 6月を迎え、本格的に暑くなり雨が降る日も多くなってくると思います。寒暖差や気圧の変化に伴い体調を崩しがちな時期だと思いますが、今月はしっかりと体調管理をしていただきたいと思います。
 とは言え、中々体調管理というのは難しいものだと思います。私も50歳を超えて、気をつけてはいても眠れないという日が増えてきました。そんな日の翌日は体調もすぐれません。これは私にとって大きな悩みではありませんが、体調が良くない時に心まで病んでしまわないで欲しいのです。心と体は密接な関係があります。どこかが痛かったり苦しかったりすると心が晴れ晴れしないものです。また元気な時でも大きな悩みを抱えると、眠れなくなったり食べられなくなったりして体調をくずす事もあります。
 体調面だけに限らず、何か大きな悩みを抱えてどうして良いか分からない時に、よくお勧めする事があります。それは、ただ神の前に座って無になって拝む事です。これはもちろんお経のもつ有り難さに触れるという面があります。しかし本当に大事なのは、無になるという事です。どうか悩みを解決してください、どうか願いを叶えてください、と願うのではなく、無になって神に向き合うのです。実はこれはとても難しい事です。無になるためには、欲や執着を捨て、あるがままを受け入れる必要があるからです。例え拝んでいるだけの短時間でもその境地に達する事ができると、それは風向きを変えるきっかけになります。拝んだことで現実的な問題が何か変わった訳でなくとも、その心になれた事で物事の捉え方が変わり、その結果現実の世界でも色々な事が変わってくるという経験を何度もしています。本当に悩んだ時、頑張ってもどうにもならないと絶望的な気持ちになった時、是非試していただきたいと思います。意外と難しいですよ。「無にならないといけない」という思いで無を意識しているのは、そもそも無ではありませんから。しかし、それに挑戦するのが心の行でもあると思います。色々なものを削ぎ落とし、自分を見つめ、ただ神の前に居る事が出来れば必ず流れは変わります。それが普段からお伝えする、置かれた立場を最大限に感謝する事にも繋がるのです。これから過ごしにくい日が続くでしょうが、みなさんがお元気で心豊かに過ごされる事を願っております。

 おかげさまでありがとうございます。

合掌

浅田 芳順

(令和七年六月一日 法話より)